「肩こりのリハビリでは、どんな運動をするの?」
「肩がこっているのに、どうして首だけでなく肩甲骨や胸郭まで確認するの?」
このような疑問を持つ方もいらっしゃいます。
肩こりの運動療法は、肩を揉んだり、一つの筋肉だけを鍛えたりすればよいというものではありません。
首や肩甲骨周囲の筋肉、胸郭の動き、日常生活や仕事での身体の使い方などを確認し、その方の状態に合わせて運動を組み合わせることが大切です。
この記事のポイント
- 肩こりの運動療法に「全員に共通する一つの正解」があるわけではありません
- 首を支える筋肉や肩甲骨周囲の筋肉の働きを確認します
- 必要に応じて胸郭の動きや身体全体の使い方も確認します
- 筋力トレーニングだけでなく、ストレッチや身体活動などを組み合わせることがあります
- 作業姿勢、仕事の環境、活動量、睡眠やストレスなども確認することがあります
- 大切なのは、自分の状態に合った運動を無理なく続けていくことです
肩こりのリハビリでは最初に何を確認する?
「肩こり」といっても、症状の感じ方や困っている場面は人によって異なります。
デスクワークを続けるとつらくなる方もいれば、首を動かしたときに症状が出る方、運動不足を感じている方などさまざまです。
そのためリハビリでは、肩だけを見るのではなく、症状が出やすい動作や仕事、普段の活動なども確認します。
当院では状態に応じて、
- 首の動き
- 首を支える筋肉の働き
- 肩甲骨周囲の筋肉や動き
- 胸郭の動き
- 日常生活での身体の使い方
- 仕事やデスクワークでの作業姿勢
- 普段の身体活動
などを確認し、その方に必要な運動を考えていきます。
肩こりの原因や病院を受診した方がよい症状については、「肩こりはなぜ起こる?原因・対策と病院を受診する目安を解説」も参考にしてください。
首を支える深い筋肉の機能を確認する
首には、頭や首を大きく動かす筋肉だけでなく、首の細かな動きや姿勢の調整に関わる深い部分の筋肉があります。
その一つが「頸部深部屈筋群」と呼ばれる、首の前方の深いところにある筋肉です。
リハビリでは、必要に応じてこのような筋肉を適切に使うための運動を行います。
ただし、「頸部深部屈筋群が弱いから肩こりになった」とすべての方に当てはめるわけではありません。
首の動きや筋力、症状との関係などを確認したうえで、必要な運動を選択します。
肩甲骨周囲の筋肉も確認する
首と肩甲骨は、それぞれが完全に独立して動いているわけではありません。
肩甲骨周囲の筋肉は、腕を動かすときだけでなく、上半身を支えたり、さまざまな姿勢や動作を行ったりするときにも働きます。
そのため、肩こりのリハビリでは肩甲骨の動きや周囲の筋肉の働きを確認し、必要に応じて筋力トレーニングや動きの練習を行います。
ここでも大切なのは、「肩甲骨を寄せればよい」「胸を張ればよい」と一律に考えないことです。
その方がどのように身体を使っているのかを確認し、それに合わせて運動を考えます。
なぜ胸郭の動きも確認する?
胸郭とは、肋骨や胸椎などで構成される胸の部分です。
首や肩、腕を動かすときには、首だけでなく肩甲骨や胸郭も一緒に動いています。
そのため、状態に応じて胸郭の動きを確認し、上半身をひねる運動や胸を動かす運動などを取り入れることがあります。
ただし、「胸郭が硬いから肩こりになる」と一つの原因に決めつけるものではありません。
首や肩甲骨などと合わせて、身体全体の動きの一部として確認します。
ストレッチと筋力トレーニングはどちらがいい?
肩こりでは、「ストレッチをした方がいいの?」「筋トレをした方がいいの?」と迷う方もいらっしゃいます。
どちらか一方だけがすべての方に適しているわけではありません。
身体の動かしにくさがみられる場合にはストレッチや可動域を広げる運動を行い、筋肉の働きや持久力などを高めたい場合には筋力トレーニングを取り入れることがあります。
また、首だけでなく肩甲骨周囲などを含めて運動する場合もあります。
「肩こりにはこの運動だけ」と決めるのではなく、現在の身体の状態や生活に合わせて組み合わせることが大切です。
有酸素運動も肩こりの運動療法になる?
ウォーキングや自転車運動などの有酸素運動を取り入れることもあります。
運動後には、一時的に痛みの感じ方が変化する「運動誘発性低痛覚(EIH)」と呼ばれる反応が研究されています。
ただし、慢性的な首や肩の痛みがある方では、この反応には個人差があります。
そのため、「有酸素運動をすれば肩こりの痛みが取れる」という意味ではありません。
有酸素運動についても、体力や普段の活動量、症状などを確認しながら、身体活動を維持する方法の一つとして考えます。
姿勢は「正しい姿勢を保ち続ける」ことが目的ではありません
肩こりというと、「姿勢が悪いから」と考える方も多いかもしれません。
しかし、肩こりは姿勢だけで説明できるものではありません。
リハビリでは、いわゆる「良い姿勢」を一日中保つことよりも、
- 同じ姿勢が長時間続いていないか
- 仕事中に身体を動かす機会があるか
- モニターや机、椅子などが身体に合っているか
- 肩や首に必要以上の力を入れて作業していないか
などを確認します。
大切なのは、一つの姿勢をずっと保つことではなく、仕事内容や身体に合わせて姿勢や環境を調整し、適度に身体を動かすことです。
デスクワーク中の具体的な見直し方については、別の記事で詳しく解説します。
心理社会的な要因も確認することがあります
肩こりや慢性的な首・肩の痛みには、身体的な要因だけでなく、仕事の負担、睡眠、ストレス、痛みに対する不安など、さまざまな要素が関係することがあります。
これは「肩こりは気の持ちよう」という意味ではありません。
痛みは身体の状態だけでなく、生活環境や心理社会的な状況など複数の要素から影響を受けるため、症状が長く続いている場合には生活全体を確認することがあります。
痛みが強くて運動できない場合は?
肩こりや首・肩の痛みが強いと、「動かした方がいいと言われてもつらい」ということがあります。
そのような場合に、痛みを我慢して無理に運動する必要はありません。
まず症状や原因を確認し、必要に応じて痛みに対する治療を行いながら、現在できる範囲から身体を動かしていくことを考えます。
当院では、症状に応じて薬物療法や注射治療、ハイドロリリースなどを検討することがあります。
肩こりに対する病院での治療については、「肩こりは病院でどう治療する?薬・注射・ハイドロリリースについて解説」をご覧ください。
肩こりのリハビリで大切なのは「自分でも身体を動かすこと」
リハビリの時間だけ身体を動かすのではなく、自分の身体の状態を知り、日常生活の中でも無理なく身体を動かしていくことが大切です。
例えば、仕事中に姿勢を変える、歩く機会をつくる、自分に合った運動を続けるなど、生活の中で実行できる方法を考えていきます。
たくさんの運動を一度に行う必要はありません。
自分の症状や生活に合った運動を選び、続けられる形にしていくこともリハビリテーションの大切な役割です。
いまがわクリニックの肩こりのリハビリテーション
いまがわクリニックでは、肩こりや首・肩周囲の症状に対して、首だけを見るのではなく、身体の状態や日常生活、仕事での身体の使い方なども確認します。
状態に応じて、
- 首の動きや筋肉の機能
- 頸部深部屈筋群など首を支える筋肉
- 肩甲骨周囲の筋肉や動き
- 胸郭の動き
- ストレッチや筋力トレーニング
- 日常生活での身体の使い方
- デスクワークなどの作業姿勢や環境
- 普段の身体活動
などを確認し、必要な運動を考えます。
すべての方に同じ運動を行うのではなく、現在の症状や身体の状態、生活に合わせて、無理なく続けられる方法を一緒に考えていきます。
まとめ
肩こりのリハビリ・運動療法は、「肩だけを揉む」「一つの筋肉だけを鍛える」というものではありません。
首を支える筋肉、肩甲骨周囲の機能、胸郭の動きなどを確認しながら、ストレッチや筋力トレーニング、身体活動などをその方の状態に合わせて組み合わせます。
さらに、日常生活での身体の使い方や作業姿勢、仕事の環境などを確認することもあります。
大切なのは、「肩こりに効く一つの運動」を探すことではなく、自分の身体と生活に合った方法で身体を動かし、それを続けていくことです。
肩こりが続いていて「自分はどのように運動すればいいのか分からない」という場合には、現在の症状や生活上の困りごとも含めてご相談ください。
痛みの治療から予防まで。
いまがわクリニック

